きっかけは業務委託から
一口に起業といっても、そこにはいろいろな業種があると思います。
得意な趣味や特技を生かして、おうち教室をやる方もいる。
もしくは、一念発起してパン屋さんなど、好きなものの販売店やカフェを開く方も。
「起業」というワード、そこから響いてくるのはキラキラした、とても夢のあるイメージ。なんだか新しいことが始まる予感にわくわくするような気持にもなりますね。
…けれど、私の場合、ここに来たきっかけは「業務委託」という働き方でした。
どちらかというと、表舞台を下から支えるような地味な働き方。
請け負う内容も、下働き的であったり裏方的であったりと、世の中でイメージされている「起業」という言葉のイメージとは程遠いものなのではないかなあ…と思います。
今回のエントリーでは、この「業務委託」ってなんなの?という所から始まり、
なぜ業務委託が起業に繋がっていったのか…そんな話のさわりから説明してみますね。
そもそも業務委託とは?
「業務委託」=アウトソーシングのこと。
試しにその言葉をgoo辞書で調べると、下のような説明が出てきます。
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1 当事者の一方が、ある一定の仕事を相手方に依頼し、相手方が自己の裁量と責任においてその仕事を行うこと。受託者はその社会的立場に応じて通常期待される程度の注意を払うことが求められる。
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2 個人が企業等から、労働契約以外の役務提供契約により委託を受け、自営の形態で業務を行い、報酬を受け取ること。
そして、ウィキペディアには、下のように書かれています。
アウトソーシング(英語: outsourcing)あるいは外部委託(がいぶいたく)とは、従来は組織内部で行っていた、もしくは新規に必要なビジネスプロセスについて、それを独立した、専門性の高い別の企業等の外部組織(子会社や協力会社、業務請負・人材派遣会社など)に委託して、労働サービスとして購入する契約である
二つの説明を読むと、なんとなくこんなモノであると理解できるかと思います。
「ある会社もしくは組織から、ある種の仕事を外部機関に請け負ってもらい、それに対して対価を支払ってもらう」仕事。
そーなんです。まさに、そのままです。
私は、かつて少しだけお仕事を共にさせていただいたある会社さんから、
いろいろな「業務」を請け負って働いています。
例えば、今後売り出す商品の市場関係資料をまとめて、とか。
クライアントAさんに渡す営業資料を加工して、とか。
委託元の販売商品のマニュアルを整備して、等々…
そうなんです。やっている仕事は、社員さんやパート事務さんのそれとほとんど変わらない。
変わることはひとつだけ。
私の立場は、社員さんでもパートさんでもなく「黒子」のようなものなのです。
最初はただの事務パートだと思っていた
委託元の社員Aさんとは、もともと知り合いでした。
(今後、業務委託の委託元なので、仮称としてこのブログ上では委託元Gと呼ぶことにしましょう)
最初の子供がまだ赤ちゃんの時、知り合いの知り合いから声をかけていただいたことがきっかけで…学生に人事サービスを紹介するメール送信の代行業務をやらせてもらっていました。
この仕事は完全出来高制かつ、育児の合間に取り組むことができる。
乳飲み子を抱えた当時の私には、とても都合の良い内職。
結局2年ほど継続させていただきました。
その後二人目の子供を授かり、一度遠ざかりましたが…
この仕事にもう一度従事したいと連絡を入れたのは、下の子が4歳になった夏です。
最初は前と全く同じ内職でお願いするつもりでした。
この時点で社員で働いていた時からのブランク8年…アルバイトやパートタイムを含んだ、いわゆる「普通の仕事」に戻れるとはまったく思っていなかったからです。
また出来高制の仕事から初めて、すこしずつ働くことに慣れていきながら、そのうち外に出られたら良いかな、程度に考えていました。
だけど再提出した職務経歴書を見ながら、Aさんから返ってきた言葉は次のようなもの。
「杜さん、パソコンそこそこ得意だよね。もっと専門的なシゴトやってみない?
出来高制じゃなくて、時給で。内容は標準的な営業事務、リモートOKですから。」
!!!!!
この言葉を聞いて、本当に驚くと共に、私は喜びを押さえられませんでした!!!
だってまともな就職活動も面接もしないで、いきなりパートの仕事をGETできたんです。
それも、人気の事務!それもリモート!!
カモがネギをしょってきた!!!
当時43歳の自分にとって、こんな特大ラッキーはそうそう起こりそうもないことです。
けれど…その後Aさんと実際の採用打ち合わせを進めていくうちに、
頭のなかにどんどんと「❓」が増えていきました。
なぜかというと。まず、契約の類の話し合いが何もないんです。
雇用契約書とか、そういう類の書面、なにも交わさないし。
完全リモートワークとはいえ、ちゃんと事務所を構えているG社なのに、
私のデスクは全く作らないという。事務所の方への紹介もなし。
そして仕事に使うPCは、貸与ではなく自分の家にあるものを使って欲しいと言われる。
コピーを取る時も、自宅プリンターで。
極めつけに、勤務曜日も固定しなくていいという。
「ま、リモートですから。
働けるときにやってもらって、やれたら連絡もらえたらよいですよ。」
長らく第一線から遠ざかっていたこともあり、そんなもんかなあ…と思っていました。
最先端のオフィス、最先端のフリーな会社。
今の時代は、こんなにいろいろな働き方が認められているのね。素晴らしい!
…それにしても、自分に対する「働く上での」制約があまりにもざっくりしすぎていて、頭に浮かぶ「❓」は全然消えていきません。
そしてこの言葉で、❓は決定的なものになりました。
「月末は見積もりと請求書を提出してくださいね。時給は1000円で換算してください。」
見積もり?!?
給与明細でなく、見積もり?
一体、どういうことなのでしょう???
そして意図せず、業務委託者となる
その言葉から噴出した全ての疑問を振り払うために、
私は幾度もたくさんの質問をAさんに重ね、最後にようやく理解しました。
自分は、この委託元G社さんから「直雇用」される社員でもアルバイトでもなく。
ある種の成果物を「外部機関」として請け負い、仕上げ、提出する立場なのだと。
成果物の対価は「時給」で支払われるけれど、決してその時間で「雇用」してもらうのではなく、その時間はあくまでも支払い対価を決める上での「目安」。
得たお金は「給与」ではなく「収入」になり、
当然、直雇用ではないので、税金関係の源泉徴収も行ってもらえません。
仕事に使うための「ツール」類も、何も貸しても提供してもらえません。
まさに、すべてが自分次第という事なのでした。
その後Aさんは、今後私に依頼するための仕事に必要なチャットツール、
成果物を収めるGoogleドライブのURLを説明してくれて…
チャットツールを経由して成果物を作るための簡単な資料を流してくれて。
職務経歴1枚と、たったそれだけの説明で、私の仕事は始まりました。
作るものは、シェアされる情報をもとにしたG社内部のための事務書類。
これが、私が今後思いもしないビジネス人生のスタートを切ることになる、
そのきっかけが生まれた瞬間でした。
この後、もう少してんやわんやがあるので…
その辺りのお話を、また引き続き次のブログ以降で語っていきますね。